ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
それもそうだ。伝説通りであれば魔王がいたのは、1000年以上前ということになる。例え長生きをしたとしても、既に寿命は尽きている。
更に魔王は『男』だったはずである。
「だが精霊が動き出したということは…」
「サラ様」
何かを言いかけた女だったが、後ろの暗闇から頭を垂れたままのリチャードが、音もなく姿を現した。傍らには白い目玉が浮遊している。
「そろそろお時間ですが」
「そうであったな。ついでに貴様の戦いを見物してやろうとも思ったが、人間の到着のほうが大分遅れているようだ」
(人間の到着? …討伐隊のことかな)
先程のエドの話では、今日の日暮れに来るらしい。やはりこの魔物たちは、討伐隊を待ち伏せしていたのだ。
「だがここに足を運んだのは、どうやら無駄ではなかったようだ。このような場所で精霊に選ばれしヒトに、ようやく出会えたのだからな」
そう言うと女は私たちに背を向けた。
「魔王、逃げる気か!? 敵に背を向けるとは卑怯だぞ!!」
そんな女の背中に向かって、またアレックスが余計なことを喚いていた。
更に魔王は『男』だったはずである。
「だが精霊が動き出したということは…」
「サラ様」
何かを言いかけた女だったが、後ろの暗闇から頭を垂れたままのリチャードが、音もなく姿を現した。傍らには白い目玉が浮遊している。
「そろそろお時間ですが」
「そうであったな。ついでに貴様の戦いを見物してやろうとも思ったが、人間の到着のほうが大分遅れているようだ」
(人間の到着? …討伐隊のことかな)
先程のエドの話では、今日の日暮れに来るらしい。やはりこの魔物たちは、討伐隊を待ち伏せしていたのだ。
「だがここに足を運んだのは、どうやら無駄ではなかったようだ。このような場所で精霊に選ばれしヒトに、ようやく出会えたのだからな」
そう言うと女は私たちに背を向けた。
「魔王、逃げる気か!? 敵に背を向けるとは卑怯だぞ!!」
そんな女の背中に向かって、またアレックスが余計なことを喚いていた。