ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
「これがもし書きかけのマーキングだとしても、この印はアレックスにもあったのよ。アレックスには魔物の術が効かないはずなのに、それって変じゃない?」

私はあの戦いの中で、アレックスが魔物の術を術文も使わずに防御している姿を何度か見かけていた。

それなのに魔物(サラ)が付けたとしか思えないこのマーキングだけは、彼の腕にもあったのだ。

彼女は魔物が唱えるはずのない術文も唱えており、そこから推測すればこの印が特殊なものであることは間違いないだろう。

「それにサラと呼ばれていたあの魔物、中位のリチャードの態度を見る限りでは、上位クラスとしか考えられないのよね」

「上位クラスですか〜? でもそのような魔物が〜自らこのような場所に〜下りてくるものなのでしょうか〜??」

それは確かにもっともな疑問である。
< 191 / 211 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop