ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
「この印のことは〜今度サラ様に逢った時〜直接訊いてみれば良いと思うのですが〜」

「え?」

「あの方が去り際に〜言っていたじゃないですか〜また逢うことになるって〜。あのお方に〜また逢えるのですよ〜」

「! 一体いつ会う約束したって言うのよ。それに訊いても素直に教えてくれるとは思えないし。ていうか私、二度と遭いたくないんだけど」

魔物の名に「様」を付けて呼ぶなど、エドはやっぱり変わっている。しかも何故か頬を染めつつ嬉しそうな表情で、彼女のことを話しているのだ。

その態度が気になった私は、声のトーンを落としながら訊いてみた。

「エドまさか、あの魔物のことを好きになったの?」

ヒトと魔物は異種族だが、場合によっては恋愛関係に発展することもあるらしい。

当然の如く肉体に大差ない者同士なら、間に子を儲けることも可能という。もっとも、私には全く理解できない話なのだが。

「それはどうでしょう〜」

エドは何故か意味深気味に笑みを浮かべながら唄う。
< 193 / 211 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop