ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
「でもあの方のおかげで僕は〜あの洞窟で〜最高傑作とまではいかなかったですが〜曲を一曲作ることができました〜」

要するにエドはあの魔物のお陰で「曲の制作」という当初の目的が達成されたために敬意を表し、例え魔物であっても「様」付けで呼んでいるということなのだろうか。

「僕はまた逢いたいです〜。実をいうとアレックスさんが〜羨ましかったのですよ〜。
あの方に〜足蹴にされていましたし〜」

「え」

私は最後の言葉で歩みを止めた。

「……あれ、エリスさん〜どうされました〜? 僕から離れないでください〜また迷子になりますよ〜」

「迷子になんかならないってば。それよりあんたに、そっちの趣味があったなんて……」

「あ、エリスさん〜その道は違いますよ〜。なんで僕から離れて〜逆方向へ行くのですか〜?」
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