ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
新たな旅立ち
「ああ、なんてお美しいのかしら」
「小鳥とお戯れになられて……まるで1枚の絵画を見ているようだわ」
「何を考えていらっしゃるのかしら」
「あのような慈愛の目で見詰めているのですもの。きっと愛おしくてたまらないのではなくて?」
「それにしてもアレックス様、起き上がって大丈夫なのかしら。
病室には『絶対安静』の札が掛けられていたはずでは……」
私たちはアレックスが入院している、建物の真下に到着していた。
そこには私と同じ年頃の娘たち5〜6人程が、溜息を吐きつつ上を見上げて会話をしている。その熱い視線の先には、アレックスの病室があった。
当のアレックスはといえば余程暇なのか、寄ってきた小鳥を肩や手の甲に乗せて遊んでいた。
窓辺に座って小鳥を愛でるその姿は、女性なら誰もが見とれてしまうような麗しさもあったが、本人にその自覚が微塵もないのが難点である。
私たちは見上げる彼女たちの横をそのまま素通りして、建物の中へと入っていった。
「小鳥とお戯れになられて……まるで1枚の絵画を見ているようだわ」
「何を考えていらっしゃるのかしら」
「あのような慈愛の目で見詰めているのですもの。きっと愛おしくてたまらないのではなくて?」
「それにしてもアレックス様、起き上がって大丈夫なのかしら。
病室には『絶対安静』の札が掛けられていたはずでは……」
私たちはアレックスが入院している、建物の真下に到着していた。
そこには私と同じ年頃の娘たち5〜6人程が、溜息を吐きつつ上を見上げて会話をしている。その熱い視線の先には、アレックスの病室があった。
当のアレックスはといえば余程暇なのか、寄ってきた小鳥を肩や手の甲に乗せて遊んでいた。
窓辺に座って小鳥を愛でるその姿は、女性なら誰もが見とれてしまうような麗しさもあったが、本人にその自覚が微塵もないのが難点である。
私たちは見上げる彼女たちの横をそのまま素通りして、建物の中へと入っていった。