ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
その服は私と同じ黒いローブであり、一目で精霊術士だと分かった。
頭はフードで覆われていて口元くらいしか見えていなかったが、体付きや地の底へ響き渡るような低い声からは性の判別も容易だった。
しかし彼がそこに佇んでいるだけでも、かなり異様な雰囲気が漂っていた。唯一見えている口角には邪悪な笑みが浮かんでおり、更に表情が隠れているためにより一層の不気味さがあった。
見るからに悪事を働いていそうな風貌である。あまりお近づきにはなりたくないかもしれない。
「おお、ディーンではないか。君も魔王を倒しにここまで来たのか」
アレックスはやや驚いた表情をしたが、直ぐにその怪しい男性へ気軽に声を掛けた。
「えっ、知り合い??」
私も驚き、二人を交互に見る。
顔が見えないのに特定の人物だと分かるのは、それだけ親しい間柄なのだろう。心なしかアレックスの表情も嬉しそうに見えた。
「相変わらずだなアレックス。お前を迎えに来たんだよ」
ディーンと呼ばれたその男性は、固まっている私たちの横を通り過ぎてアレックスの元へ歩み寄ると、おもむろに被っていたフードを外した。
頭はフードで覆われていて口元くらいしか見えていなかったが、体付きや地の底へ響き渡るような低い声からは性の判別も容易だった。
しかし彼がそこに佇んでいるだけでも、かなり異様な雰囲気が漂っていた。唯一見えている口角には邪悪な笑みが浮かんでおり、更に表情が隠れているためにより一層の不気味さがあった。
見るからに悪事を働いていそうな風貌である。あまりお近づきにはなりたくないかもしれない。
「おお、ディーンではないか。君も魔王を倒しにここまで来たのか」
アレックスはやや驚いた表情をしたが、直ぐにその怪しい男性へ気軽に声を掛けた。
「えっ、知り合い??」
私も驚き、二人を交互に見る。
顔が見えないのに特定の人物だと分かるのは、それだけ親しい間柄なのだろう。心なしかアレックスの表情も嬉しそうに見えた。
「相変わらずだなアレックス。お前を迎えに来たんだよ」
ディーンと呼ばれたその男性は、固まっている私たちの横を通り過ぎてアレックスの元へ歩み寄ると、おもむろに被っていたフードを外した。