ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
「や、やっと着いた…」

私は安堵感からか、その場にへたり込んでしまった。

背後を通る通行人たちが不審者でも見るような目付きで、薄汚れてボロボロになった私を見ながら通り過ぎていく。

だがそれは今の私にとっては全く気にならなかった。ようやく目的地に着いたということだけで、胸がいっぱいなのである。

実家のあるハイゼン村から旅立って1週間。

ここまでの道のりは長かったような気がする。

途中で魔物や野盗に襲われたりもしたが、隣にあるセフォネ町の『旅人たちの館(トラベラーズギルド)』前に無事辿り着くことができたのだ。

感動で涙も出そうになったが、しかしここで感慨にふけっている場合ではない。

私はようやく起き上がり、入口のほうに顔を向ける。

だが。

「へ?…あれ?」

ここで初めて気が付いた私は、入口横に掲げられている看板の文字を改めて読んでみた。

「トラベラーズギルド…カタトス町支部!??」

ビックリして、大声で叫んでしまった。
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