ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
この6日間、毎日図書館通いをしていても全く手掛かりすらなかったというのに、まさかこんなにあっさり見つかるとは。

しかしディーンは直ぐに、何処で見たのかを具体的には思い出せないと言ってきた。

「もしかしたらこの紋様は……リアが見つけた古文書に載っていたものかもしれない」

「リア?」

「ああ、弱冠18歳にして考古学者をやっている、アレックスの妹なんだが」

ディーンは首を捻りながら、何かを思案している様子だった。

「或いはうちの村なら、何か分かるかもしれないな」

「どういうこと?」

「うちは『英雄の血族』の村だからさ」

ディーンは真面目な顔をして答えている。

やはりそうなのだ。アレックスの村は、未だに英雄や魔王伝説を信じている。
< 202 / 211 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop