ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
「う〜む、困った」

日も完全に落ち、辺りはすっかり暗くなっていた。

聞こえてくるのは木々のざわめきと、時折鳴いている鳥の声、微かな羽ばたきくらいである。

人気のない、うっそうと生い茂った黒い森。

夜目は多少きくが、暗闇の中をこのまま歩くのが危険であることは素人にも分かる。

かといって光属性の術を発動して灯りを点ければ、魔物たちに気付かれ更に危険だ。

しかしいつの間にこんな場所へ来てしまったのだろう。

カタトス町内の宿屋へ向かっていたはずだが。

なのに森の中。一体何故??

私は首を捻った。

だがこんな場所で今更そんなことを考えていても仕方がない。

私は気を取り直し、ここで野宿をすることに決めた。今はこの場を動かないほうが無難である。
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