ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
「! とうとう、始まったか」

父はその煙を見ると舌打ちし、急いでローブを着ながらおじさんの後に続いて出て行こうとする。

「父さん!」

私は我慢が出来なくなって、その背中に声を掛けた。

「エリス、父さんがいなくても二人でしっかり避難するんだぞ。それにソーマのことも頼む」

振り向いた父は、私に笑顔を見せた。

「…でも」

「心配はいらないさ。父さんがこの村には、一歩も入れさせないからな」

私は余程父に向かって不安そうな顔をしていたのだろうか。

父は元気づけるように私の頭に手を置くと、そう言い残して出て行った。
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