ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
父が出て行ってからしばらくしても、爆発音は鳴り止まなかった。

私たちは他の村人たちと一緒に、外れの高台にある避難場所にいた。

ここから見下ろしてみると状況は一目で分かるが、どうやら村の中に攻め込まれたらしい。今、村の至る所で爆音とともに火の手も上がっているのが見える。

私はそれを見詰めながら右手で左腕のブレスレットを、ギュッと強く握り締めていた。

「お姉ちゃん…」

ソーマは震えながら、私の腰にしがみついてくる。

「大丈夫よ。だって父さんが戦ってるんだもん。きっと全部やっつけてくれるわよ」

まだ11歳になったばかりの弟の、私と同じ色をした髪を撫でながら慰めるように言った。

しかし私は――。

(本当は私も戦うべき、なのよね)
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