ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
これでも精霊術士の端くれなのだ。

まだ実戦経験があまりないとはいえ、少しでも戦力にはなれるはずだ。

なのに私は「一緒に戦いたい」と、何故言えなかったのだろう。

母が亡くなってから、男手一つで育ててくれた父を心配させたくないという気持ちと、姉として弟を守らなくてはいけないという気持ちもあった。

だがそれ以上に、私も生まれ育ったこの村を守りたかった。

それに今の自分の実力を知る、良い機会でもある。

父には「魔物と戦うのはまだ早い」と言われ、今までギルドの仕事を受けさせてはもらえなかったのだが。

私は強くなりたかった。強くなってみんなを守りたかった。


父のように――。
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