ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
「あら? いやだわ」

おばさんが突然声を上げた。

「ねぇ、エリスちゃん見て。あれ、ウチの方角じゃないかしら?」

私はおばさんの指差す方向を見た。

私とおばさんの家は、西門と貯蔵庫間の通り道付近には建っていない。しかも反対側に位置するはずだ。

しかし離れたその場所からも火の手が見える。

「おばさん、ソーマをお願い!」

私はそれを見た途端、居ても立ってもいられなくなり、おばさんの返事も待たずに丘を駆け下りていた。
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