ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
私は急いで自宅に向かっていた。



……はずだったのだが。

「あれ?」

立ち止まり、辺りを見回した。

この近辺はまだ戦闘区域にはなっていないのか、町並みが保たれたままだった。目の前には周囲の民家と比べると、一際大きな見覚えのある建物が建っている。勿論、人気などは全くない。

「あれ、ええと…うーん?」

私はこの二股になっている分かれ道で立ち往生していた。

「ウチって、どっち方向だっけ??」

呟いた途端、脇に続いていた塀が大きな爆発音とともに、目の前で砕け散った。私はその音にビックリして、その場で思わず尻餅をついた。

「ここだ、ここだ。食いモンは。オレが一番のりだ」

その崩れた場所からひょっこり顔を出したのは、全身毛むくじゃらで大きな耳をしたオオカミ男。ヴォーウルフだ。
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