ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
「1匹、我々の予想よりも早くここに到着したヤツがいたのでね」

父は近付いてきた剣士に向かってそう言うと、足元で黒こげになっているヴォーウルフを一瞥した。

「もう最初のヤツが来たのか。だとしたらそろそろ…」

「そうだ。すぐ近くにいる」

「ところで、その女の子は誰です?」

剣士はここで私に気付くと、父に尋ねてきた。

「俺の娘だ」

「それが、なんでここに?」

「まぁ…その、いろいろあって、ここまで来てしまったようなんだが…」

父は何故か言葉を濁しつつ、答えた。

「ともかく、エリスはここに隠れていろ。いいな!」

「? うん」

私は父に促されるまま、大きな建物の中へと入っていった。
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