ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
室内には麦や豆類、野菜などの入った大きな袋や箱がいくつも天井高く積み上げられている。

晴れていて明るい屋外とは対照的に薄暗く、籠もっている空気もひんやりとしていた。

ここは村で採れた穀物や野菜などを保管している、貯蔵庫である。

私は入口の重い扉をそっと細く開けると、外の様子をうかがった。

父と剣士はすぐ目の前にいて、背中を向けて並んで立っている。

「ウィルテルさん、ヤツらはどの程度まで減っているんですか?」

「さっきの報告では、全体的にざっと20匹前後まで減らしたらしい。俺のほうはそれならなんとかなるが、君はどうだ?」

「俺もそのくらいなら…。できるなら集団で来て欲しくはないですけどね」

「同感だ」

(もしかして、待ち伏せ?)

二人の会話から私は確信した。
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