ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
父と剣士が戦っている間にも別のヴォーウルフが壁を乗り越え、こちらへ集まってきた。私が見たところ、10匹以上はいるようだ。

「ジェット君、ちょっといいか」

父はそれらと戦い始めた剣士を呼び止める。

「なんでしょう」

「こいつらをこのまま一匹ずつ倒していくのもいいが、それだと効率悪いだろう?」

「! なるほど。なら一気に、せん滅しましょうか」

剣士は爪を避けながらそう言うと、ヴォーウルフの輪の中から数歩後退し、持っている大剣を目の前へ掲げた。柄に嵌め込まれている精霊石も鈍く光り、精霊紋が浮かび上がってくる。

「斬炎!」

剣士が言葉を発すると、その刀身に炎が纏った。
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