ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
父との約束
その悲鳴で目が覚めた。
同時に草の擦れるような音と、慌ただしい複数の足音も聞こえてくる。
私は飛び起きて横に置いてあった荷物を掴むと、生い茂る草の陰に隠れて慎重に辺りの様子を窺った。
木々の隙間から、赤い揺れが幾つか見えている。
(敵? 罠に引っ掛かったのかしら)
私は地面を這うように、警戒しながらそれに近付いていった。逃げるにしても、一応現在の状況は把握しておかなければならない。
近付くにつれ、複数の足音だと思っていたものが、馬の蹄の音だということに気が付いた。
(馬に乗っている人間? もしかして野盗のほうかな)
更に近付いていく。
間もなく暗闇から浮かび上がってきたモノは――。