ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
ケンタウロスは確認できる範囲内で、他に3匹いた。合計で4匹だ。全員同じ顔をしている。

更にもう1匹、私の罠に掛かって木の根で身体を貫かれている者もいるが、もう既に絶命しているのでこれは無視して構わない。最初に悲鳴を上げたのは、多分コイツだろう。

周囲が薄暗くてはっきりとは分からないが、これ以外には仕掛けていた罠が発動した形跡はなさそうである。とはいえ罠系の術というものは、1つでも発動すれば成功といえるのだが。

大体の確認を終えると、私はこのまま静かに後退した。

相手は駿足である。見つかったら厄介だ。例え逃げたとしても確実に追い付かれる。

それにケンタウロスは一応下位クラスに属しているとはいえ、中位に近い魔物でもある。

実をいうと私は今回、ケンタウロスを生で見るのは初めてだった。故郷の村周辺では見かけない魔物なのだ。ここは故郷からそれほど離れてはいない距離だったが、地域が少しずれただけでも、生息する魔物の種類が若干違ってくる。
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