ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
一体、どれほどの時間が過ぎただろうか。辺りは静まり返っている。
(もう、大丈夫なのかな)
私は枝葉の隙間から慎重に、そっと下を覗き込んだ。
近くに気配はない。灯りも見えない。
だが、いつまた戻ってくるかは分からなかったため、油断はできなかった。
私は今、木の上にいた。
落ち葉と風でケンタウロスたちの視界を遮っている間に、素早く近くの木へ登ったのだ。
それはほんの、僅かな時間だった。