ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
こんな満天の星空を眺めたのは、何年ぶりであろうか。

そうだ、確か父とソーマと3人で行った村祭り。その帰り道に丘の上で、ソーマが丁度流星群を見つけたのがこんな空だった。

(あの時にソーマったら、ずっと上を向いていたせいで、次の日には首が下がらなくなっちゃってたのよね。2〜3日くらい、動かす度に痛がってたっけ)

私はその時のことを思い出してしまい、クスリと笑った。

(みんな、どうしてるかなぁ。父さん、ソーマ…)

「あ、あれ?」

急に視界が曇ってきた。

まだ旅立って1週間しか経っていないというのに、もうホームシックになってしまったのだろうか。それとも、さっき見た夢のせいか。

(駄目よね、今からこんなんじゃ。しっかりしなきゃ!)

私は手で目を強く擦りながら、心の中で自分を叱咤した。

まだ旅は、始まったばかりである。
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