ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
本当ならば、すぐにでも出発したいところだった。

しかし私はあの時に痛感していた。魔物を倒せなかった事実とあの二人の戦いを見た時に、今の実力では旅に出たところで、徘徊する下位クラスの魔物とさえも、まともに戦うことなどできないだろうと。

「今すぐに…なんて言わない。だって私が今出て行っても、多分魔物と戦えないだろうし。だからもう少しここで修行して、父さんが認めてくれるようになったら旅に出る。そのためには、今よりもっと強くなりたい」

「そうか。お前は自分の実力を、分かっているわけだな?」

「そうよ。口惜しいけど今の私の力じゃ、世の中で通用しないわ」

吐き捨てるように言った私を、父はしばらく無言で見詰めていたが、ふいに口元を緩めた。

「なら半年だ」

「え?」

「半年間で、みっちり鍛えてやる。父さんでは最低限のことしか教えてやれないが、それでも今以上に厳しい特訓になるからな。覚悟しておけよ」



それが半年前のことである。
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