ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
「エド、もうすぐだ!」

「アレックスさん、待ってくださいよ〜♪」

声とともに楽器を奏でる音がしてきた。しかも2番目に話しているモノは、その音楽に合わせて唄っているようにも聞こえる。

突如飛び込んできた緊張感のないその音で、私のほうが一瞬怯んでしまった。気付いたときには茂みの中から、敵が目の前に飛び出してきていた。

「おや? 君は…」

主は私に気付く。

私はその声でハッと我に返ると、目の前にいるモノを反射的に見上げた。

それは私が今までに出会ったことのないような、20歳代前半程の美しい青年だった。

目鼻立ちの良い、整った甘い容貌。

綺麗に刈られた光沢のある銀に近いブロンドの髪に、きめ細かな白い肌。近距離から向けられる涼しげな眼差しは、吸い込まれそうなほどに鮮やかな碧色をしている。

「君はもしや、精霊術士ではないのかい?」
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