ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
私は突然のことで頭がパニックを起こし、真っ白になった。

青年の身体から包み込まれるような温もりを直に感じ、全身の血が上ってオーバーヒートしているかのようだった。

「よしっ! 精霊術士もゲットだっ!!」

いきなり叫んだ男は私の肩を抱くと、前方の木々から見える青空へ向かって、勢いよく人差し指を突き出した。取り敢えず目を凝らしてその方向を見てみるが、特に何の変哲もない青空が広がっているだけである。

「アレックスさん〜、声が大きいですよぉ」

ポロロン、と楽器の音がする。

そういえばすっかり忘れていたが、もう一人いたのだ。
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