ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
だが私は今の出来事を確認している隙はなかった。

「だーっ、なんなのよもうっ!」

予想外の事態に思わず叫びながらも私は光のシールドを張り、流されてくる敵の矢を防いでいた。敵は前に出ている剣士のほうを集中攻撃していたのだが、こちらにも向かってきている。

今この場にいる敵は2匹だけだが、このまま何もしなかったら殺られてしまうのは確実だった。

私は一瞬だけ1匹が、剣士に向かって矢を放つ構えをしながら足を止めたのを見逃さなかった。

「影蔦縛止(シャッテン・リエ・コルド)」

シールドを解除し、即座に地面へ向かって闇属性の術をかける。すると昇っている日の影響でできた私の影が、敵へ向かって一直線に伸びていった。

影は敵に触れるとその身体を一気に這い上り、その名の通り蔦のように巻き付いて身動きを取れなくした。

それを見た剣士は素早く移動し、動けなくなった敵をそのまま斬る。
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