ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
「君たち、こんなところで何をしているのだ? 早く奥へ行こうではないか」

先に中へ入っていた剣士が、ひょっこりと脇から顔を出す。そうだ、元はといえばこの人のせいではないか。

「あの、ちょっと聞きたいんだけど」

「ん、なんだい?」

「えーと…その…」

剣士は透明感のある涼しい眼差しで、私を見詰めている。たったそれだけのことなのに、何故か胸がドキドキしてその先を言うことができなかった。

「そういえば〜自己紹介がまだでしたね〜。僕はエドワード・ライアン〜。そしてあなたはぁ〜?」

「エリス・フルーラよ〜」

答えて、私は我に返った。吟遊詩人――エドの音楽に釣られ、つい唄いながら名乗ってしまったのだ。恥ずかしさのあまり、自分の顔が熱くなっていく。
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