ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
「では僕は、先に行ってますので〜」

「えっ!?」

気が付けばエドが一人で、暗い洞窟の奥へと消えていくところだった。この吟遊詩人、逃げ足だけは速いようだ。

入口は炎の矢で阻まれ、私たちは奥へ逃げ込むしかなかった。

魔物たちに追い詰められているだけのような気もするが、既に逃げているエドも放ってはおけないため仕方がない。

私もその後へ続き、急いで逃げようとしたのだが。

「ちょっとあなた、何やってるのよ!?」

入口へ顔を向けるとアレックスが剣を抜き、飛んでくる炎と格闘しているところだった。

「あなたも早く逃げないと、丸焼きになっちゃうわよ」

「俺はここで奴らを食い止める。だから君は先に行っているのだ」
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