ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
だが相手は成人男性である。私のようなか弱い少女の力では、当然の如くビクともしない。

「どうでも良くはない! 何故ならこれが俺の…」

「いいから、来なさい!!」

拳を振り上げて、なおも続けて熱く何かを力説しようとした言葉を私は途中で遮ると、有無を言わさぬ強い口調で一喝した。こんなところで、ぐずぐずなどしていられないのだ。

アレックスは怒った私の顔を見ると、一瞬驚いたような表情を見せた。そして急に何かに怯える仔犬のような目をしたかと思うと、「分かった」と小さく呟きながら私の後を素直についてきたのである。
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