ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
私は眉間を指先で軽く数回ほど叩きながら、ゆっくりと確かめるように訊いてみた。

「エド、もう一度訊くけど……どういうこと?」

「つまりは、そういうことなのですぅ〜」

「だから、どういうことなのよ!?」

洞窟内に私の声が木霊する。思わず大きな声を出してしまった。言っている意味が全く理解できない。

「では、俺から説明しよう」

何事もなかったかのように真面目な表情をしたアレックスが、突然目の前に現れた。さっきまで地面で蹲るようにして悔しがっていたはずだが、いつの間にか復活したらしい。

「ここ数日間この界隈の町や村で、人間が数名ほど行方不明になっている。そこにどうやら魔物が絡んでいるらしいのだ」

「ふーん、よくある話ね」

私は興味なさそうな声を出した。

実際、珍しいことではない。恐らくこの辺りを徘徊している、下位クラスの魔物にでも襲われたのだろう。

「しかも絡んでいるのは魔王だ」
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