社長の息子と恋
1.

心吾side




「しーんーごー!」


耳元でうるさく名前を呼ばれて目を開けると、見慣れた地味な顔があった。


『…なんだよ、自分で起きれるっつっただろーが…!』


布団をグイッと引っ張ったが、すぐに引き剥がされた。


「何言ってんの!
今日は早く起きなきゃいけない日でしょ。
ほら、起きて!」


背中を押されて仕方なく立ち上がった。


『あーうるせぇおばさん。』


「口悪!
もーパパの真似しないでよー。」


俺の横を歩く地味なこの人間は俺の母親。


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