社長の息子と恋
俺は直哉をギロリと睨んで早足で近づくと耳を引っ張った。
『ナンパしてんな。
心亜行くぞ。』
スタスタと歩く俺の後ろで直哉が心亜に頑張って!と言っていたなんて俺は知らない。
自転車置き場に行くと、心亜!と呼ぶ声を聞いて、何故かつられて俺も声の方を見た。
女が心亜に近づいて、キャッキャはしゃいでいる。
俺と目が合うと途端に固まって恥ずかしそうに頭を下げた。
俺はそれをフイッと背中を向け無視して、だるそうに自転車に体重をかけて心亜を待った。
「じゃあね!」
心亜の声に振り向くと、心亜はよいしょ!と後ろに乗った。