社長の息子と恋
バタバタと後ろから聞こえる足音を無視し、歩くスピードを速めた。
追いかけて来る足音に俺の苛立ちは掻き立てられ、どうしようもなかった。
「心吾待って………!」
焦ったような声が聞こえ、腕を掴まれた瞬間俺は思いきり苛立ちのまま腕を払った。
冷たい目で心亜を睨むと、泣きそうな顔で俺を見た。
『帰る。
あいつに送ってもらえ。』
それだけ言うと俺はその場から立ち去った。
俺は何を苛ついてるんだ?
つうか、怒る資格ねぇよな?
あいつが誰と何してようと勝手だし、直哉だって本気なんだ。
俺はそれを止めなかったし何も言わなかったんだ。