24/7~キミを想う~【完結】
すれ違い
後はスーパーに行って買い物をするだけだ。
暗くなってきたし早く家に帰らないと。
ユーヤも心配しているに違いない。
ケーキ屋を出て歩いていると、背後からジャリジャリという小石を巻き込む音がした。
自転車が来た。
そう察したあたしが道の隅に寄った瞬間、右手に持っていたバッグが何かの力によって引っ張られた。
「……やっ!」
思わず顔を上げると、黒い帽子を被った男があたしのバッグをひったくった。
「……――ちょっと!!待ちなさいよ!!」
慌てて男を追いかけるものの、自転車には敵わない。
あたしはすぐに男を見失った。