Half Lovers
雑音の中のキミ
「…ふぅー、やっと着いたぁ」
ようやくたどり着いた、俺の家。
質素な2階の一戸建て。建ててから、とっくに10年は経っているから屋根の紺色がハゲて、まるで白髪みたいに老いている。
「くぅくぅ……」
俺の背中から、かすかな寝息が聞こえた。
(こんな中途半端なところで寝るなよ……)
背中に背負っている理佳をチラリと睨んだ後、急ぎ足で家の玄関のドアを開け、2階の自分の寝室までの階段を駆け上がった――。
理佳を自分の部屋にある、二段ベッドの下の段に起こさないように寝かせたあと、俺はベッドの上の段へと向かった。
「はぁ…」
ようやく一件落着になったことへの安堵と、理佳が起きたら彼女を家に帰さなければいけない仕事が増えたことへの倦怠感が、彼の口から長く力のないため息を漏らした。
(もう寝ようかな……)
そう思い目を閉じようとした瞬間、
「に…しき……?」
下の段にさっきまで眠っていたはずの理佳が、俺の目の前に立っていた。
それも……かなり、近くで。
知らない間に目と目が合っていて、思わずベッドの上の段から転げ落ちそうになった。
「りりりり、理佳っ! だ、大丈夫か、体は……」
「あたしはダイジョーブだけどぉ…、錦こそ大丈夫なの!?」
「俺は……。…その、大丈夫」
なんだろう。
理佳と目と目が合っただけなのに。
すごく動揺してる、俺。止まらない、この鼓動の乱れたリズム。
熱る、顔。理佳からは、どう見られているのだろう。もし、変な風に見られていたら……。きっとあとで、大笑いされるに違いない。
俺はこの衝動を抑えるため、理佳にいつもの口ぶりで
「理佳が大丈夫なら俺はお前を家まで送ってく」
そう言い、イスにかけてあった紺色のコートを羽織った。
ようやくたどり着いた、俺の家。
質素な2階の一戸建て。建ててから、とっくに10年は経っているから屋根の紺色がハゲて、まるで白髪みたいに老いている。
「くぅくぅ……」
俺の背中から、かすかな寝息が聞こえた。
(こんな中途半端なところで寝るなよ……)
背中に背負っている理佳をチラリと睨んだ後、急ぎ足で家の玄関のドアを開け、2階の自分の寝室までの階段を駆け上がった――。
理佳を自分の部屋にある、二段ベッドの下の段に起こさないように寝かせたあと、俺はベッドの上の段へと向かった。
「はぁ…」
ようやく一件落着になったことへの安堵と、理佳が起きたら彼女を家に帰さなければいけない仕事が増えたことへの倦怠感が、彼の口から長く力のないため息を漏らした。
(もう寝ようかな……)
そう思い目を閉じようとした瞬間、
「に…しき……?」
下の段にさっきまで眠っていたはずの理佳が、俺の目の前に立っていた。
それも……かなり、近くで。
知らない間に目と目が合っていて、思わずベッドの上の段から転げ落ちそうになった。
「りりりり、理佳っ! だ、大丈夫か、体は……」
「あたしはダイジョーブだけどぉ…、錦こそ大丈夫なの!?」
「俺は……。…その、大丈夫」
なんだろう。
理佳と目と目が合っただけなのに。
すごく動揺してる、俺。止まらない、この鼓動の乱れたリズム。
熱る、顔。理佳からは、どう見られているのだろう。もし、変な風に見られていたら……。きっとあとで、大笑いされるに違いない。
俺はこの衝動を抑えるため、理佳にいつもの口ぶりで
「理佳が大丈夫なら俺はお前を家まで送ってく」
そう言い、イスにかけてあった紺色のコートを羽織った。