電波に乗って
「おーい。マチ?」
「……じゃあその‘誰かさん’に伝えて」
「おう」
「私も。……って」
「……伝えとくわ」
「よろしく」
「おう」
「じゃあ、おやすみ」
「おやすみ」
通話終了ボタンを押し、私はしばらく
ぼんやりとしていた。
コツン
「……」
隣の部屋の壁から、コツンという音がする。
私はベッドから出て、その壁へと向かった。
コツン
携帯の角を、壁に軽くぶつける。
私は地面に座り込み、壁にもたれた。
コツン
コツン
ベッドの明かりをぼんやりと見つめ、そのまま私は目を閉じる。
コツン
コツン
朝起きると、私は壁にもたれたまま寝ていた。
下からお母さんの呼ぶ声が聞こえる。
「今降りるー」
大きな声で返事をし、私は制服に着替えた。
部屋を出て、階段を降りる。