聖夜の軌跡
「それじゃ、診察するから」

そう言って秀はあたしの腕をとる。脈を計ってるらしい。

前に秀に教えてもらった。



あたしは小さい頃から体が弱かった。

最近は大分ましになってきたけど。


だから、学校はもちろん。この屋敷から出たことすらない。

あたしの部屋は清潔感あふれる真っ白い部屋。

お父様とお母様が用意してくれた。


「点滴うつよ」


あたしはただ、秀の作業を他人事のように見ていた。

秀が動くたびに、秀の髪の毛が揺れて、いい香りがする。


「終わったよ」


秀はあたしの頭をなでる。
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