わたしはまた恋をする ~年下の彼~
男は切れて血が出た唇を痛そうに拭って、「勘弁してくれ…!」って叫びながら逃げて行った。
雅也は倒れた亜矢の所にしゃがみ込んで様子を見ていた。
「ねーちゃん…!」
優太は泣きそうな顔で亜矢を抱きかかえていた。
「優太、大丈夫だから落ち着け。タクシーの方が早い。亜矢ねーちゃんを病院に運ぶぞ」
そして俺の方に振り返る。
「悠斗も手伝ってくれるな?」
俺が優太の顔を見ると、小さく頷いた。
「悠斗…今は約束した事は無しだ。手伝ってくれ」
そう、俺は約束した。
『二度と亜矢には会わない』って…。