キミのトナリ
「涼しい~」
碓氷は伸びをしながらそう言う
俺たちは海の見えるベンチに座った
「桜井~さっきはありがとね」
「え?」
「さっきわざと話そらしてくれたでしょ」
碓氷はニッと笑う
(気づかれてたのか...)
その後、俺たちは沈黙しジッと海を見つめていた
先に沈黙を破ったのは俺だ
「碓氷さぁ、好きな人いないの?」
そう言った瞬間
一瞬碓氷の表現が曇ったように見えた
少し黙っていた碓氷が口を開く
「私もう誰も好きにならないの」
思いがけない一言だった