彼は教育実習生
ある日の放課後、教室でまた3人で雑用をしながら、いつもみたいにたわいもないお喋りをしていた。
突然サキが「先生って彼女いるの~?」て軽く聞いた。サキには不思議な魅力があって、相手に警戒心を与えない話し方が出来る子だった。
そんなサキが出す空気に、いつも他の生徒に聞かれるとうまく流していた先生も「いないよ」て普通に答えてた。
「え?いないの? 意外~? どのくらいいないの?」なんてサキは突っ込んで聞いている。
先生も笑いながら「そうだなぁ。もう1年くらいかな。寂しいモンだよ」なんて会話してる。
私はただドキドキしながら2人の話を聞いていた。そっか…、先生…彼女…いないんだ。すごく嬉しい。
今はサキが自分の彼氏について熱く語っている。どうも先生と彼の大学が同じ街にあり、学年も一緒なので何かと共通点があるらしい。
私をよそに2人は盛り上がっていた。
急に先生が私の方を見て「佐伯さんは?」と聞いて来た。
私は胸がドキっとして顔が真っ赤になっていくのが分かった。