My mother
『誰か、いる?』
僕の声は響く訳でもなく、
こだまする訳でもなく。
気の抜けたような枯れた声が
ぽつりと聴こえるだけだった。
この空間は静かだ。
物音ひとつしない。
どうやら誰もいないようだ。
僕は目を閉じた。
ー…一体ここはどこだろう?
どうして誰もいないんだ?
ここにたどり着くまでの記憶が
何一つないなんて
…そうだ
お母さんは?
お父さんは?
ミシェルは?
僕は閉じた目を開けた。