意地悪王子とお姫様
元はといえば、咲貴君がサボるって言って屋上に連れてきたのに。
すぐ寝ちゃうんだもん。
「…なんで、寝ちゃうのっ。起きてよー」
あたしが膨れっ面で咲貴君を見る。
「起きてんだろ」
咲貴君は、ダルそーに言った。
「雨芽ちゃんの声がうるさくて起きたんだからね」
また知ったかぶったこと言う!
「巧の声も十分うるさかった」
ほらみろー。
あたしが横目で巧君を見た。
「雨芽ちゃんが咲貴の好きな人、知りたいだってー!」
「もー!」
なんで、すぐ言うわけっ!
「そんな気になるか」
咲貴君は、寝転んだままあたしを見る。
「気になるっ!」
自分の好きな人なんだからっ!