意地悪王子とお姫様



「……雨芽は、毎日泣いてんな?」


咲貴君があたしの瞼にキスをした。



「…咲貴君と離れたくないんだもん」



どうしたら、離れなくて済む?


否定されればされる程、思いは強くなる。


全部全部…全部、咲貴君で埋めてほしい。



「鎖ででも、繋いであげようか?」


咲貴君がクスっと笑う。


「ずっといれるなら、それでもいいよ」


「…いつから、そんな俺にハマってんだよ」



「……んんっ…ふぁっ…」


深い深いキスをされた。



「…そんなに俺が好き?」


咲貴君は首を傾げる。


あたしは、迷わず頷いた。


「…好きすぎて嫌になるっ…」



そう言って涙を拭くあたしとは違って、咲貴君は笑う。



「嫌になんなよ」



< 164 / 275 >

この作品をシェア

pagetop