意地悪王子とお姫様
「……雨芽は、毎日泣いてんな?」
咲貴君があたしの瞼にキスをした。
「…咲貴君と離れたくないんだもん」
どうしたら、離れなくて済む?
否定されればされる程、思いは強くなる。
全部全部…全部、咲貴君で埋めてほしい。
「鎖ででも、繋いであげようか?」
咲貴君がクスっと笑う。
「ずっといれるなら、それでもいいよ」
「…いつから、そんな俺にハマってんだよ」
「……んんっ…ふぁっ…」
深い深いキスをされた。
「…そんなに俺が好き?」
咲貴君は首を傾げる。
あたしは、迷わず頷いた。
「…好きすぎて嫌になるっ…」
そう言って涙を拭くあたしとは違って、咲貴君は笑う。
「嫌になんなよ」