意地悪王子とお姫様
7.Scary
―――――――――……
「両想いなんだ、よね…?」
小さく呟いた。
思わず顔がにやけてしまう。
幸せいっぱいだ。
もう、何もいらない。
「なに、またにやけてんの」
ひかるが横目であたしを見て言う。
「なんでもないっ!」
一応、内緒にしておかなくちゃ。
「……次は、啓となんかあったわけ?」
次は…って。
確かにひかるの次は、啓だ。
「……喧嘩じゃないよ」
『いつも俺は、お前しか見てねーよ』
思い出すだけで、胸が痛む。
一度も、啓をそういう風に見たことはなかった。
それに、いきなりキスするなんて……。
「啓なんて、知らないっ…」
もう、考えたくなかった。