意地悪王子とお姫様
「啓は、クラスのムードメーカーなんだよ。あいつが元気ないだけで、クラスの温度も下がる」
「……わかった」
ひかるがそこまで言うなら、話すよ。
クラスにまで影響しちゃ困る。
それに、啓があたしの心配してたなんて聞いて申し訳ない気持ちになった。
仕方なく、重い足をあげて啓の席に向かった。
「……啓」
あたしが小さくそう呼んだだけで、すぐ啓の顔があがった。
「雨芽、ごめんっ!」
そして、すぐあたしに謝ってきた。
「ごめんっ!本当にごめん!」
「…いや、ちょっと……」
そんな大声で謝るから、みんなに注目されるじゃん!
「別なとこ行こうよ。ねっ…」
あたしが苦笑いで言う。
「…あぁ」
啓は立ち上がって、あたしの腕を掴んだ。
またこうなるのね……。