意地悪王子とお姫様
なんなのさああぁっ!!
「普通、好きでもない人にキ…」
「あー、うるせっ!!」
そう言って、抱き寄せられた。
「……な、なんで…」
強気だった口調も弱々しくなってしまう。
それぐらい強く抱きしめられていた。
「だって…、そうだし」
啓が言う。
「…意味わかんないよ?」
「意味分かれってば!雨芽が言ったとおりだよ…」
そう言って、ため息をついてあたしから離れた。
「……好きなんだよ」
―――ずーっと前から
自分で疑いながらも、事実が信じられなかった。
しかも…ずっと前から…?
「…し、知らなかったよ…」
「だろうな。雨芽、馬鹿だし」
ほら、いつもこんな風に意地悪なこと言ってくるくせに。