意地悪王子とお姫様


「…早く行こうよぉ」


あたしが怯えながら言う。


「はいはい」


そう言って、あたしの手を取る咲貴君。



「「きゃあああーっ!!」」


手を繋いだら、この騒ぎ…。



教室に行くまでに咲貴君は、一体何人の女の子に呼びかけられたことか…。


しかも、呼びかけられても完全シカト。

まるで何も聞こえてないかのように平然とした顔で歩く咲貴君を恐ろしく思う。



教室に着いた途端、安心と疲れが混ざりあってフラついてしまった。


「……わわっ…」


「…なにしてんだよ」


咲貴君に支えられて、ドキッとしてしまう。



やっぱり、格好いいもんなぁー…。


みんな、一目惚れぐらいしちゃうよね…。


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