意地悪王子とお姫様
「…見すぎ」
咲貴君がクスっと笑う。
「…ご、ごめんねっ…」
思わず顔が赤くなる。
「いいよ、雨芽のだから」
そう言うと、もっと体を引き寄せられた。
「…み、見られるからやめてよぉ…」
「見せてんだし」
周りを見ると、全ての視線があたしに向かっていた。
お願い、やめてえええ!
「もっ、もう、席着く…」
離れるあたしを咲貴君は不機嫌そうに見る。
「つまんねーの」
そう言いながらも、あたしの背中を押して席に着かせた。
「今日は、ずっと一緒だからな?」
「う゛っ…」
とっても嬉しいことなのに喜ぶことは、できなかった。
だって、みんなからの視線が怖いよ…。