意地悪王子とお姫様
▽強がり
―――――――――――…………
咲貴君に迷惑かけたくない。
困らせたくない。
ただそれだけなのに。
「……雨芽?」
咲貴君があたしを呼ぶ。
「…ん、え?なにー?」
頭から離れない。
「お前、最近おかしくない?」
「……そ、そんなことないょ…」
思わず俯く、あたし。
先輩の件から、何日か経った。
あたしと咲貴君は、あれからも変わらず学校でも一緒にいる。
咲貴君は、前よりもっとあたしを気遣ってくれるようになった。
素直に嬉しいことなのに。
やっぱり、嫌がらせは止まないらしい。
今日の朝だって、そうだった。
机の中を見ると、ぐちゃぐちゃにされた紙くずが沢山入っていて。
それを開くと思わず泣きそうになってしまう。
『遊びだって気づけ』
『早く別れろ』 『咲貴を返せ』
赤ペンで殴り書きされた文字。