意地悪王子とお姫様
あれから、そんなことの繰り返し。
咲貴君に気づかれないように。
影で、見えないところで、こんなことをやってくるんだ。
もちろん、あたしだって咲貴君に迷惑かけたくないし…。
きっと、また自分を責めちゃうんじゃないかと思って黙っている。
それに…思うんだ。
この紙くずに書いてあることは、先輩達だけじゃない。
他のみんな。
今まで、咲貴君に遊ばれた人達とかみんなが思ってることなんだろうなって。
「……なんかあったら、言えよ」
咲貴君が真剣な眼差しであたしを見る。
「…うん」
ちゃんと目を見て言えなかった。
今、咲貴君に甘えたらあたしはきっと大泣きするに決まってる。
大丈夫だよ、このぐらい。
きっと大丈夫。