意地悪王子とお姫様
抱きしめられたまま、1時間が過ぎてしまった。
すごく心地よくて、安心できた。
「もう、大丈夫だょ…咲貴君」
そう言うと咲貴君は、ゆっくり離れる。
「なんで、そんな顔すんだよ?」
そんな顔って……?
「離れなくないって顔してるよ」
「…んんっ…」
唇を押しつけられた。
「雨芽が望むなら、あのまま1日過ごすとか余裕ー」
「……ありがとっ!」
あたしが笑って言うと咲貴君がまた抱きしめる。
「もっと笑って?雨芽」
「…んっ…」
あたしの首筋に顔をうずめる。
「………最近さ、雨芽の笑顔見ることが少ねーよ」
やっぱり、分かるんだ…。
あたしそんなに笑ってなかった…?